酵素の話 - 酵素とは

酵素とは

酵素とは触媒作用を持った分子のことです。分子なので生き物ではありません。触媒というのは特定の化学反応を促進させる物質で、その反応前後において自身に変化を伴わないものです。酵素は私たちが食べたものを消化吸収したり代謝したりするのにかかせないもので、酵素なしでは生物の生存はなりたちません。

酵素の例

酵素でよく知られているのはパイナップルに含まれるタンパク質分解酵素でしょう。酢豚にパイナップルを入れているのも肉を分解し柔らかくする事が狙いなのです。またパイナップルを食べ過ぎると胃に悪いとか、乳幼児にパイナップルを与えてはいけないというのはタンパク質分解酵素があるからなのです。家庭でも簡単に酵素の活性を見ることができますので興味のある方はお肉にパイナップル果汁(缶詰は酵素活性が失われているので生のもの)をかけしばらく放置してみて下さい。肉質の変化が見て取れます。

ひとつの鍵穴に鍵はひとつ

酵素の特質として反応特異性があげられます。生物の細胞内では様々な酵素が常に存在し(数千種)それぞれの役割に応じた反応を行っています。細胞内で様々な酵素が同時に入り乱れて存在しています。そうした状態にあって必要以外の物質と化学反応すると生体活動がなりたちません。そこで酵素は化学反応が限定されるように設計されています。よく鍵と鍵穴で例えられるのですが酵素が行う化学反応するのは一通りなのです。

酵素の性質

酵素は分子と述べましたが詳しくは主にタンパク質になります。タンパク質ですので熱やpH等で容易に変性し活性を失います。活性を失うと言うのは、凹凸がある酵素の立体構造においては、凹みが鍵穴となり鍵に相当する特定の物質と反応できるようになっているのですが、その「くぼみ」の形が変わり鍵が入れないようになる事で機能を失う事を、不活化または失活するといいます。活性を失った酵素はもはや用を足しません。


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